【高校数学を見直してみよう】

高校数学を見直してみよう[2]:二乗和の公式の証明は何種類出来ますか?

級数を習った時に、例えば
\begin{eqnarray}
S_1 &=& \sum_{k = 1}^{n} k = \frac{n (n + 1)}{2} \\
S_2 &=& \sum_{k = 1}^{n} k^2 = \frac{n (n + 1) (2n + 1)}{6}
\end{eqnarray}
などの公式が出てきたと思いますが、これを証明出来ますか?
また、何種類の証明が出来ますか?

公式を単に覚えるだけでなく、その証明の流れも理解していると、様々な場面で役立つことがあります。
それも、複数の証明を理解していると、その応用はさらに広がります。
今回は、上記の2つの「公式」について、各々3つの証明をご紹介します。

先ずは、手始めに $S_1$ から証明していきましょう。

証明1-1

最初の証明はよく知られた方法です。ガウスが小学生の時に使ったという逸話は、あまりにも有名ですね。

\begin{eqnarray}
S_1 &=& 1 + 2 + \cdots + (n – 1) + n \\
S_1 &=& n + (n – 1) + \cdots + 2 + 1 \\
2 S_1 &=& (n + 1) + (n + 1) + \cdots + (n + 1) + (n + 1) \\
2 S_1 &=& n (n + 1) \\
S_1 &=& \frac{n (n + 1)}{2}
\end{eqnarray}

証明1-2

次の証明は、少しアイディアが必要ですが、この手法は覚えておいても損はないでしょう。

\begin{eqnarray}
n^2 – (n – 1)^2 &=& 2 n – 1 \\
(n – 1)^2 – (n – 2)^2 &=& 2 (n – 1) – 1 \\
&\cdots& \\
2 ^2 – 1^2 &=& 2\cdot 2 – 1 \\
1^2 – 0^2 &=& 1\cdot 1 – 2
\end{eqnarray}
これを全て辺々を加えると
\begin{eqnarray}
n^2 &=& 2 S_1 – n \\
S_1 &=& \frac{n (n + 1)}{2}
\end{eqnarray}
が得られます。

証明1-3

最後に、計算はちょっと複雑ですが、様々な応用の効く方法をご紹介しましょう。
少しトリッキーですが、最初に初項 $1$ 公比 $r$ の等比級数の和を考えます。
\begin{eqnarray}
1 + r + r^2 + \cdots + r^n &=& \frac{1 – r^{n + 1}}{1 – r}
\end{eqnarray}
これを、両辺 $r$ で微分してみましょう。すると
\begin{eqnarray}
1 + 2 r + 3 r^2 + \cdots + n r^{n – 1} &=& \frac{\rm d}{{\rm d} r}\left(\frac{1 – r^{n + 1}}{1 – r}\right)
\end{eqnarray}
が得られます。ここで $r = 1$ とすると、左辺は $S_1$ になります。
では、右辺を計算してみましょう。
\begin{eqnarray}
\frac{\rm d}{{\rm d} r}\left(\frac{1 – r^{n + 1}}{1 – r}\right) &=&
\frac{- (n + 1) r^n (1 – r) + (1 – r^{n + 1})}{(1 – r)^2} \\
&=& \frac{n r^{n + 1} – (n + 1) r^n + 1}{(1 – r)^2}
\end{eqnarray}
このままでは、$r = 1$ を代入すると、分母も分子も 0 になってしまいます。すなわち、分母も分子も $(1 – r)$ の因子を持っているということですね。$(1- r)$ で割り算をしても良いのですが、ここではロピタルの定理を使って、分母、分子を各々2回ずつ $r$ で微分してみましょう。
そうすると、分母は $2$ となります。分子はどうでしょうか?
\begin{eqnarray}
\frac{{\rm d}^2}{{\rm d} r^2} \left(n r^{n + 1} – (n + 1) r^n + n + 1\right) &=&
n^2 (n + 1) r^n – n(n – 1) (n + 1) r^{n -1}
\end{eqnarray}
となります。従って、$r = 1$ を代入することによって
\begin{eqnarray}
S_1 &=& \frac{n (n + 1)}{2}
\end{eqnarray}
が得られました。

3種類の証明をご紹介しましたが、計算量やアイディアなどは大きく違いますね。
また、同時に拡張性(例えば、2乗和や3乗和などへの拡張)を考えると、どれが優れているとは言えなさそうです。

では、$S_2$ について同様に計算してみましょう。

証明2-1

図に示すような三角形に数字を並べたものを3つ考えて各々を加えると、全ての点において $(2 n + 1)$ となります。
この点は $S_1$ 個ありますから、全て加えると
\begin{eqnarray}
(2 n + 1) \times \frac{n (n + 1)}{2}
\end{eqnarray}
となります。これは $3 S_2$ ですから
\begin{eqnarray}
S_2 &=& \frac{n (n + 1)(2 n + 1)}{6}
\end{eqnarray}
と求まります。

証明2-2

今度は $n^3$ を考えます。
\begin{eqnarray}
n^3 – (n – 1)^3 &=& 3 n^2 – 3 n + 1 \\
(n – 1)^3 – (n – 2)^3 &=& 3 (n – 1)^2 – 3 (n – 1) + 1 \\
&\cdots& \\
2^3 – 1^3 &=& 3 \cdot 2^2 – 3 \cdot 2 + 1 \\
1^3 – 0^3 &=& 3 \cdot 1^2 – 3 \cdot 1 + 1
\end{eqnarray}
これらの式を辺々を加えると
\begin{eqnarray}
n^3 &=& 3 S_2 – 3 S_1 + n \\
3 S_2 &=& n^3 – n + 3 S_1 \\
S_2 &=& \frac{n (n + 1)(2 n + 1)}{6}
\end{eqnarray}
が得られます。$S_1$ の時は、証明1-1が断然計算量が少なかったですが、$S_2$ になると、この証明も意外と計算量が少なくて済みます。

証明3-3

最後に等比級数を使った方法で計算してみましょう。
\begin{eqnarray}
1 + r + r^2 + r^3 + \cdots + r^n &=& \frac{1 – r^{n + 1}}{1 – r} \\
1 + 2 r + 3 r^2 + \cdots + n r^{n – 1} &=& \frac{\rm d}{{\rm d} r}\left(\frac{1 – r^{n + 1}}{1 – r}\right) \\
r + 2 r^2 + 3 r^3 + \cdots + n r^n &=& r \frac{\rm d}{{\rm d} r}\left(\frac{1 – r^{n + 1}}{1 – r}\right) \\
1^2 + 2^2 r + 3^2 r^2 + \cdots + n^2 r^{n – 1} &=& \frac{\rm d}{{\rm d} r}\left(r \frac{\rm d}{{\rm d} r}\left(\frac{1 – r^{n + 1}}{1 – r}\right)\right)
\end{eqnarray}
左辺で $r = 1$ とすれば、$S_2$ が得られますね。
それでは右辺を計算しましょう。
\begin{eqnarray}
\frac{\rm d}{{\rm d} r}\left(r \frac{\rm d}{{\rm d} r}\left(\frac{1 – r^{n + 1}}{1 – r}\right)\right) &=&
\frac{\rm d}{{\rm d} r} \left(r \cdot \frac{n r^{n + 1} – (n + 1) r^n + 1}{(1 – r)^2}\right) \\
&=& \frac{(n (n + 2) r^{n + 1} – (n + 1)^2 r^n + 1)(1 – r)^2 + (n r^{n + 2} – (n + 1) r^{n + 1} + r) 2 (1 – r)}{(1 – r)^4} \\
&=& \frac{n(n + 2) r^{n + 1} – (n + 1)^2 r^n + 1}{(1 – r)^2} + 2 \frac{n r^{n + 2} – (n + 1) r^{n + 1} + r}{(1 – r)^3}
\end{eqnarray}
この式は第1項も第2項も $r = 1$ で分母、分子がともに $0$ となりますから、各々にロピタルの定理を使いましょう。
第1項は分母、分子を2回微分、第2項は分母、分子を3回微分して $r = 1$ を代入します。そうすると
\begin{eqnarray}
\frac{n^2(n + 2)(n + 1) – n (n + 1)^2 (n – 1)}{2} – 2 \frac{n^2 (n + 2) (n + 1) – (n + 1)^2 n (n – 1}{6} &=&
\frac{n (n + 1)(2 n + 1)}{6}
\end{eqnarray}
となり、$S_2$ が然るべき式として求まりました。

これら3つの証明を見比べて、皆さんはどのように感じられたでしょうか?
1つ目の方法は、$S_3$ では、相当工夫が必要そうですね。
一方で、2つ目の証明は $S_3, S_4$ を求めるのに簡便な方法に思えます。
3つ目の方法は、計算が複雑で使いみちがないと思われるかも知れませんが、この考え方を使えば、例えば
\begin{eqnarray}
1\cdot 2 + 2\cdot 3 + 3 \cdot 4 + \cdots + (n – 1) n
\end{eqnarray}
なども求めることが出来ることが分かると思います。

このように、よく知られた結果でも、様々な角度から異なった証明を試みてみることで、様々な拡張・一般化を考えることが出来ます。

皆さんも、よく知られた公式の証明を見返してみて、別の証明方法がないか考えてみてはいかがでしょうか?
意外な発見があるかも知れませんよ。

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